Baby G

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・・・つうても別に腕時計の話でもなく、ラッパーの名前でもない(って、そりゃShock Gか)。
 普通アメリカの総合大学と呼ばれる大学、いわゆるUniversityにはいろんな学部がある。日本の大学でもいろんな学部があるが、アメリカではそれ以上にジャンルは多岐に渡る。日本だと普通芸術系の科目は「芸術大学」といわれるところで教えられるが、アメリカのUniversityにはちゃんと各大学に芸術学部があるのだ。

 というわけでWOGは昨日UNCC芸術学部に乗り込んだ。目的はピアノを弾くためである。車もねぇ、テレビもねぇ、バスケもシーズンじゃねぇという三重苦(笑)の現在のWOGにとっては「ピアノでも弾かなきゃやってらんねぇぜちくしょう」状態なのだ。まぁ、以前からWOGはピアノを弾くのは大好きでどこでも空いてるピアノがあったらついついそこに吸い寄せられて行ってしまうぐらいジャンキーな生活をしてきたのでやはりここは一発ピアノで発散しないと、ただでさえ人がいなくて寂しいこのレイバーデイのシーズンなんか乗り切れない。

 芸術学部の建物は珍しく自動ドア。入るとギャラリーになっていていろんな芸術作品にお目にかかることが出来た。楽器を持って往来する人々の中、WOGは音楽学科の部屋に行って「私ここの大学院生なんですけど、ピアノ弾いてもいいっすか?」と聞いたところノープロブレム。なんと練習室は24時間365日空いているとのこと。こりゃまた何てWOG向きなところなんでしょうかね。

 練習室は全部で15ぐらい。鍵がかかってて入れない部屋もあったけど、大体3畳ぐらいの部屋に小型のアップライトピアノが2台置いてある。学部の人から「グランドピアノは残念ながら音楽専攻の学生でも許可がないと弾けないのよ」と言われたが鍵がかからない部屋に一台発見。しかし何か言われるかも知れないと思いWOGはアップライトでスケールを練習していた。

 すると学部の人らしい人がノックして「あなた音楽専攻?」と聞いてきた。理由を話してから「あそこのグランドピアノ弾いてもいいのかな?」と聞くと「ああ、いいわよ。ただしすごい音だけどね」との返事。うわ〜い。弾けるんなら何でもいいよーう!!WOGは早速グランドピアノの部屋に行った。置いてあったのはSteinway&Sunsの小型グランドピアノ。通称Baby Gである。

 確かにすごい音だ。何というか、割れ金を叩くような音。かなりの年代物で、あんまりピアノ線の手入れがしてなくて、ハンマーの部分のフェルトが磨耗してるとこんな音が出る。しかしそんなことはあまり構わない。WOGはグランドピアノのアフタータッチ(鍵盤を押したときに2回がくっとくること)が好きなのだ。アップライトに比べて鍵盤が重たい分、音に表情が出しやすいし、鍵盤の連打に対しても戻りが速い。嬉しくなってしまってWOGは今日も行ってしまった。ホリデーシーズンの誰もいない学部の建物の中でムソルグスキーの「展覧会の絵」を弾くのはなかなかに爽快。「キエフの大門」を弾き終わった後の心地よい疲労感がたまらなかった。

 ただし、やはり調律していないのがバレバレで「カタコンベ」の中の一点Fisと二点Fisのトレモロのイントロの部分では流石に我慢できなくてWOGは弾きながら「うぎゃー!!この音をなんとかしてくれー!!!」と弾きながら叫んでしまった。下手に絶対音感があるとこういう時に泣きを見る。やはり物事、一長一短ですな。


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