留学生の嘆き、つうか愚痴

10/7


 留学生の生活は日本にいる方々が思うほど快適なものではない。今もようやく暇が出来て梅酒をかっ喰らいながらこんな日記を打っているが、昨日まではまるで地獄のような宿題攻撃に偏頭痛を感じ、薬飲んでちょっと寝て、その代わり朝はめちゃくちゃ早起きして出来なかった分を片づけなければいけなかった。その宿題の量がまたハンパじゃないのだ。フツー、いきなり留学が決まって右も左も判らずに来た留学生に対して週に500ページだの600ページだのの本読みを課すかね・・・(泣)。勿論、日本にいるときにここまで膨大な量の読書などしたことのないWOGに全部読めるはずもなく、今のところ半分を読むのがやっと、酷いときは半分以下しか読めていない。日本語でならまだしも、これが全部英語なのだ。文系なのでページを埋めてくれるグラフや統計データなども殆どお目にかかることがない。延々と続く表音文字の列にうんざりしながら黙々と読んでいくしかないのだ。
 一番自分が情けなく思うのはつい2ページ前に出てきて調べた単語の意味がどうしても出てこないときだ。自分の歳を云々する以前によくこんなに単語を知らずに今まで生きて来れたな、と我ながら恥を感じずにはいられない。しかし、今の状況は一つ一つの単語を丁寧に覚えていけるような時間も暇もない。ただひたすら単語の詰め込み、さながらフォアグラの状態なのだ。
 本を読むだけだったらまだそれでも多少の救いようはある。それ以上に厄介なことには、課題の本を読んでの批判的エッセイを2〜3枚ほど書かなければいけないのだ。英語をフォアグラ状態で詰め込まれた後に、今度は生のみしたものをゲロとして吐き戻すことを強制されているも同然。今度は鵜飼の鵜の気持ちがよくわかる。そしてそうやって必死こいて書き上げたレポートに目の前でBやらB-やらが付けられるとき、もうWOGは泣きたくなる。あんた、私がどれだけ苦しんでこの文章作ったと思ってるんだ。3時間だぜ、3時間。それを目の前で5分で読んでBマイナスかい。もう、なんだか諸行無常の世界だ。
 おまけにアメリカの大学院の授業はディスカッションが中心。アメリカ人のネイティブスピードについていって議論しなければならない。大体、聞くだけでも精一杯の状態の今のWOGがどうやったらその内容をふまえつつ批判を加えていけるというのだ。お陰でWOGは今のところ議論を聞いている時間が殆ど。たまに意見を求められてようやく口が開けるという、非常に無様な現状だ。毎回の授業の後にはやるせない敗北感を背負ってとぼとぼ寮に帰っていく。
 しかしここで諦めたらそれこそ無様そのもの。大体、自分で掘った墓穴、もとい自分で選んだ道なのだから、それに対していつまでもうじうじしてても自分が惨めになるだけだろう。「ヘンッ、いつか見てろよ」と強がりつつ寮で「空耳アワー」のビデオを見て「アメリカ人にはこの面白さが判んねぇんだぜ、やーいざまーみやがれ!!」と勢いよく笑い飛ばすのが今一番のWOGのストレス解消手段だったりして。・・・暗いな、自分。(という以前に空耳アワーを録画してんじゃないって)

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